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こんにちは、中古PC手帖の匠です。
ThinkPadを使っていると、USBメモリから起動したいときや、仮想化機能、Secure Bootの状態を確認したいときに、BIOSへ入る必要が出てきます。ただ、電源を入れてもすぐWindowsが立ち上がり、どのキーを押せばよいのか分かりにくいんですよね。
ThinkPadのBIOSは、基本的に電源投入直後のF1キーから起動できます。タイミングが合わない場合は、Windowsの回復メニューを経由する方法もあります。
一方で、BIOSはパソコンの起動に関わる場所です。項目の意味が分からないまま変更すると、Windowsが立ち上がらなくなったり、暗号化されたデータへアクセスできなくなったりする可能性もあります。この記事では、BIOSの入り方だけでなく、確認だけで終える場合の操作と、更新前に見ておきたい項目まで順に解説します。
- ThinkPadでBIOSを起動する方法
- F1キーで入れない場合の対処法
- BIOSで確認できる主な設定
- BIOS更新前に必要な安全確認
ThinkPadのBIOSとは

ThinkPadのBIOSを安全に扱うには、まずWindowsの設定画面との違いを知っておくことが大切です。ここでは、BIOSとUEFIの関係や、どのような場面で開くのかを見ていきます。
BIOSとUEFIの違い
BIOSは、電源を入れた直後にCPU、メモリ、ストレージなどを確認し、Windowsへ処理を引き渡すための基本的な仕組みです。パソコンの部品とOSをつなぐ、玄関のような役割だと考えると分かりやすいでしょう。
現在のThinkPadでは、従来型のBIOSより機能が増えたUEFIが採用されています。ただし、Lenovoの案内や設定画面では「UEFI BIOS」「BIOS Setup」といった呼び方が使われるため、日常的にはどちらもBIOSと呼ばれています。
そのため、「ThinkPadのUEFIを起動したい」という場合も、「ThinkPadのBIOSへ入りたい」という場合も、基本的な操作は同じです。この記事でも、画面や設定全体を示すときは、分かりやすさを優先してBIOSと表記します。
BIOSとUEFIは完全に別の設定画面ではありません。比較的新しいThinkPadでBIOS Setupを開くと、実際にはUEFIに対応した設定画面が表示されます。
BIOSを開く主な目的
BIOSを開く目的として多いのは、起動する機器の順番を変える場面です。例えば、USBメモリに入れたOSや診断ツールを使うときは、内蔵SSDより先にUSB機器を読み込ませる必要があります。
ほかにも、仮想マシンを使うための仮想化機能、Secure Boot、内蔵カメラ、マイク、無線LANなどの状態を確認できます。中古のThinkPadでは、前の利用環境に合わせた設定が残っていることもあるため、購入後の確認に役立つ場合があります。
ただし、目的が「現在のBIOSバージョンを見たい」だけなら、設定を変更する必要はありません。画面を開き、情報を確認して、そのまま保存せず終了すれば十分です。
BIOSでは必要な項目だけを確認するのが基本です。正常に動いている設定を、興味本位で一つずつ切り替える必要はありません。
中古ThinkPadで見る理由
中古ThinkPadでは、初期化済みのWindowsが入っていても、BIOSまで初期状態に戻されているとは限りません。会社や学校で使われていた個体では、起動順序や外部機器の利用条件が変更されている可能性があります。
特に確認したいのが、BIOSへ入るときにパスワードを要求されるかどうかです。Supervisor Passwordが設定されていると、項目の閲覧はできても、一部の設定を変更できないことがあります。解除には現在のパスワードが必要になるため、購入者側で簡単に初期化できるものではありません。
中古品を受け取った直後なら、Windowsの設定を進める前にBIOSへ入り、パスワード表示や設定変更の可否を確かめておくと安心です。異常があれば、販売店の返品期間内に相談しやすくなります。
◆匠のワンポイントアドバイス
中古機でBIOSを確認するとき、私は最初から項目を変更しません。まず型番、BIOSバージョン、パスワードの有無を見るだけです。購入直後の状態を覚えておけば、あとで問題が起きたときにも原因を追いやすくなりますよ。
ThinkPadのBIOS起動方法

ThinkPadのBIOS起動方法は、電源投入直後にF1キーを押す方法が基本です。ここでは通常の手順に加え、キー入力のタイミングや、再起動時に入りやすくするコツを解説します。
F1キーで起動する手順
最初にThinkPadを完全にシャットダウンします。画面が消え、電源ランプも消えたことを確認したら、電源ボタンを押してください。
電源を入れた直後から、キーボード上段のF1キーを短い間隔で数回押します。長く押し続けるより、「トン、トン、トン」と繰り返すほうが入力を受け付けてもらいやすい印象です。
成功すると、Windowsのロゴではなく「ThinkPad Setup」や「UEFI BIOS」と表示された設定画面が開きます。機種やBIOSの世代によって色や配置は異なりますが、Main、Config、Security、Startup、Restartなどの項目が並んでいればBIOSへ入れています。
LenovoのThinkPad向け案内でも、起動時にF1キーを使ってBIOS Setup Utilityを表示する手順が示されています。機種別の説明書を確認したい場合は、製品名やマシンタイプを指定して検索すると確実です(出典:Lenovo公式サポート)。
基本手順は「電源を切る、電源を入れる、すぐF1を数回押す」です。Windowsの読み込みが始まってから押しても間に合わないため、電源ボタンを押した直後から操作してください。
Enterキーを経由する方法
ThinkPadの機種によっては、LenovoやThinkPadのロゴが表示されている間にEnterキーを押すと、起動を一時停止するメニューが開きます。その画面で「F1 to enter the BIOS Setup Utility」といった案内が表示されたら、続けてF1キーを押してください。
いきなりF1を押しても反応しない場合や、ロゴ画面が短くてタイミングを取りにくい場合に試せる方法です。まずEnterキーを連打し、Startup Interrupt Menuが表示されてから落ち着いてF1を選べます。
このメニューには、F12で一時的な起動機器を選ぶ項目や、診断機能へ進む項目が出ることもあります。USBメモリから一度だけ起動したいなら、BIOSの起動順序を恒久的に変えるより、F12のBoot Menuを使うほうが変更箇所を減らせます。
Fnキーが必要な場合
F1キーを押すと、音量や画面の明るさなど別の機能が働くことがあります。その場合は、Fnキーを押しながらF1キーを押してみてください。キーボード上段を特殊機能として使う設定になっていると、Fnキーとの組み合わせが必要です。
一方、ThinkPadのFnLockが有効なら、F1キー単独で通常のファンクションキーとして動作します。多くの機種ではFnキーとEscキーを同時に押すとFnLockを切り替えられますが、機種差があるため、反応しないときは無理に繰り返さなくて構いません。
外付けキーボードを使っている場合は、起動直後に認識されないこともあります。まず本体キーボードのF1を試しましょう。Bluetooth接続のキーボードは、Windowsが起動する前には接続されない場合があるので、BIOS操作には向いていません。
再起動より電源投入が確実
Windowsの再起動からでもBIOSへ入れる機種はあります。ただ、更新処理や高速な再起動によってロゴ画面の表示が短くなり、F1入力のタイミングを逃すことも珍しくありません。
うまくいかないときはWindowsをシャットダウンし、数秒待ってから電源を入れてください。周辺機器が原因かもしれない場合は、USBメモリ、外付けSSD、ドッキングステーションなどを外した状態で試します。
なお、画面が真っ暗なままでも、外部ディスプレイ側にBIOSが表示されている可能性があります。ノート本体の画面と外部画面を確認し、必要なら外部ディスプレイを外して再度起動すると判断しやすくなります。
WindowsからUEFIを開く方法

F1キーのタイミングが合わないときは、Windowsの詳細な起動メニューからUEFIを開けます。Windows 11とWindows 10では項目名が少し異なるものの、基本的な流れは共通しています。
Windows 11で開く手順
Windows 11では、「設定」を開き、「システム」から「回復」へ進みます。「PCの起動をカスタマイズする」または「高度なスタートアップ」の横にある「今すぐ再起動」を選んでください。
確認画面でも再起動を選ぶと、青い背景のメニューが表示されます。そこで「トラブルシューティング」、「詳細オプション」、「UEFIファームウェアの設定」の順に進み、最後に「再起動」を押します。
再起動後にThinkPadのUEFI設定画面が開けば完了です。この方法ならロゴが表示される一瞬を狙う必要がなく、キーボード操作に慣れていない人でも進めやすいでしょう。
なお、作業中のファイルは先に保存してください。「今すぐ再起動」を選ぶとWindowsが終了するため、保存していない内容が失われる可能性があります。
Windows 10で開く手順
Windows 10では、「設定」、「更新とセキュリティ」、「回復」の順に開きます。「PCの起動をカスタマイズする」にある「今すぐ再起動」を選びましょう。
再起動後は「トラブルシューティング」、「詳細オプション」、「UEFIファームウェアの設定」、「再起動」と進みます。表示されたメニューでマウスが使えない場合は、方向キーとEnterキーでも選択可能です。
Windows 10のサポートが終了した環境や、メーカー独自の回復画面が入っている個体では、表示が多少異なるかもしれません。その場合も「詳細オプション」や「UEFI」という表記を手掛かりにしてください。
UEFI設定が表示されない場合
詳細オプションに「UEFIファームウェアの設定」が表示されない場合は、Windowsが従来型のLegacy BIOSモードで起動している可能性があります。また、古いThinkPadや特殊な構成では、この入り方に対応していないこともあります。
Windows上で起動方式を確認するなら、スタートメニューの検索欄に「システム情報」と入力して開き、「BIOSモード」を見てください。「UEFI」と表示されていればUEFI起動、「レガシ」と表示されていれば従来方式です。
UEFIの項目がなくても故障とは限りません。その場合は電源投入直後のF1キー、またはEnterキーを経由する方法を試します。ここで起動方式を変えるためにLegacyとUEFIを切り替えるのは避けましょう。Windowsのインストール方式と合わなくなると、起動できなくなる場合があります。
UEFIの項目を表示させる目的で起動方式を変更しないでください。現在正常に動いているWindowsが立ち上がらなくなるおそれがあります。
BIOSに入れないときの対処
F1を押してもWindowsが起動してしまう場合、多くはキー入力のタイミングやキーボードの動作が原因です。慌てて設定を変える前に、簡単に試せる対処から確認していきます。
高速スタートアップを避ける
Windowsの高速スタートアップが有効だと、通常のシャットダウン後も一部の状態が保存され、起動が短時間で進みます。その結果、F1を受け付ける時間が分かりにくくなることがあります。
一度だけ試すなら、Windowsのスタートメニューで電源を開き、Shiftキーを押しながら「シャットダウン」を選ぶ方法があります。完全に電源が切れたら、電源ボタンを押した直後からF1を数回入力してください。
高速スタートアップを恒久的に無効化しなくても、WindowsからUEFIへ進む方法で目的を果たせる場合があります。BIOSへ入るためだけに、普段の起動設定まで変更する必要はありません。
キー入力を見直す
まずF1キーを押し続ける方法と、短く連打する方法の両方を試します。次にFn+F1、Enterを数回押してからF1という順番を試すと、機種による違いをカバーしやすくなります。
キー自体が故障していないかも確認してください。Windowsが起動したあと、キーボード確認用の画面や対応アプリでF1が反応するかを見る方法があります。ただし、Windows上でF1を押すとヘルプが開くソフトもあるため、作業中のアプリは閉じておくとよいでしょう。
外付けキーボードを使うなら、有線USB接続を選び、本体へ直接つなぎます。USBハブやドックを経由すると、起動直後の認識が遅れる場合があります。反対に、本体キーボードが使えるなら、外付け機器を外して試すのが近道です。
完全に電源を切って試す
画面が消えても、スリープ状態になっているだけではBIOS起動の操作を受け付けません。電源ランプがゆっくり点滅している場合は、完全なシャットダウンではなくスリープの可能性があります。
Windowsを通常の手順で終了できないときは、電源ボタンを長押しして電源を切る方法もあります。ただし、保存中や更新中のデータが壊れるおそれがあるため、通常の終了ができるならそちらを優先してください。
内蔵バッテリーを外せないThinkPadには、底面に緊急リセット用の小さな穴がある機種もあります。しかし、これはBIOSへ入るための通常操作ではありません。機種別の説明書を確認せず、針などを差し込むのは避けたほうが安全です。
パスワード画面が出る場合
電源投入直後やBIOS起動時に鍵の印が表示されたら、Power-on PasswordやSupervisor Passwordが設定されている可能性があります。パスワードが分からない状態で、推測した文字を繰り返し入力するのはおすすめできません。
特にSupervisor Passwordは、CMOS用電池を外しただけで解除できるとは限りません。中古販売店へ連絡できるなら、購入時から設定されていたことを伝え、返品や対応の可否を確認してください。
フリマや個人売買では、この点が見落とされがちです。Windowsが使える状態でも、将来SSD交換や起動設定の変更が必要になったときに困るかもしれません。BIOSパスワードが不明な中古機は、購入後の自由度が下がると考えておきましょう。
◆匠のワンポイントアドバイス
中古ThinkPadの商品説明で「BIOS確認済み」と書かれていても、パスワードなしで設定変更できるとは限りません。購入前なら、BIOSへ入れるか、Supervisor Passwordが解除済みかを販売者へ聞いておくと安心です。
BIOSで確認できる設定

BIOSには多くの項目がありますが、初めて開いたときにすべて理解する必要はありません。目的と関係する箇所だけを確認し、変更前の状態を残しておくことが大切です。
機種情報とバージョン
MainやInformationの画面では、製品名、マシンタイプ、シリアル番号、UEFI BIOS Version、Embedded Controller Versionなどを確認できます。BIOS更新ファイルを探すときは、ここに表示される情報が重要です。
ThinkPadは同じシリーズ名でも世代やマシンタイプが異なります。例えば「ThinkPad X1 Carbon」だけでは対象を絞り切れず、Gen番号や4桁のTypeまで確認しなければならないことがあります。
BIOSバージョンは、英数字を含む識別番号と数字の版数が並んでいる場合があります。あとで見比べられるよう、スマートフォンで画面を撮影するか、紙に正確に控えてください。写真を撮るだけなら設定へ影響しません。
起動順序とUSB起動
StartupやBootでは、Windows Boot Manager、内蔵SSD、USB HDD、ネットワーク起動などの順番を確認できます。USBメモリからOSをインストールするときは、USB起動が許可されているかも見ておきます。
ただ、一度だけUSBから起動するなら、起動時にF12を押してBoot Menuを開く方法が便利です。この方法なら通常の起動順序を変えずに済み、次回は自動的に内蔵SSDからWindowsが立ち上がります。
USBメモリが一覧に出ない場合は、作成方法、接続端子、Secure Bootとの対応も関係します。表示されないからといって、手当たり次第にLegacy SupportやCSMを有効にするのは避けましょう。まず別のUSB端子や、正しく作成した起動用メディアを試してください。
Secure Bootの状態
Secure Bootは、起動時に信頼できるソフトウェアかを確認する仕組みです。Windows 11を通常どおり使うなら、有効な状態が基本となります。
一部のLinuxや古い診断ツールを起動するために、Secure Bootの無効化を求められることがあります。しかし、目的の作業が終わったあとに戻し忘れる可能性もあるため、変更前の状態を必ず記録してください。
また、Secure Boot、起動方式、TPM関連の設定を変えると、BitLockerの回復キーを求められる場合があります。暗号化の状態と回復キーの保管場所を確認できないうちは、変更しないほうがよいでしょう。
BitLockerが有効なThinkPadでは、BIOS設定の変更前に回復キーを確認してください。Microsoftアカウント、会社の管理部門、印刷した控えなど、保管先は利用環境によって異なります。
仮想化機能の設定
仮想マシン、Androidの開発環境、Windowsの一部機能などを使う際に、CPUの仮想化機能を有効にする必要があります。ThinkPadではSecurityやVirtualizationの中に、Intel Virtualization Technology、AMD Virtualizationなどの項目があります。
ソフト側に「仮想化が無効」と表示されたときは、BIOS上の設定を確認する価値があります。ただし、Windowsの機能同士が影響してエラーが出る場合もあり、BIOSを有効にすれば必ず解決するわけではありません。
変更するなら現在の設定を撮影し、対象項目だけを切り替えます。似た名前の項目をまとめて変更すると、どれが結果に影響したのか分からなくなってしまいます。
設定を変更せず終了する
確認だけで終える場合は、RestartやExitの画面から「Exit Discarding Changes」または「Discard Changes and Exit」に相当する項目を選びます。これなら、誤って触れた内容を保存せずに終了できます。
「Save Changes and Exit」は変更を保存して再起動する項目です。何も変えていないつもりでも、不安があれば保存しない終了方法を選んでください。
キーボード操作ではEscキーで前の画面へ戻り、F10キーで保存終了となる機種が一般的です。ただし、画面下部や右側に表示される操作案内を優先しましょう。世代によってキーの割り当てが異なる場合があります。
BIOS更新前の確認事項

ThinkPadのBIOSアップデートは、不具合修正や安全性への対応に役立ちます。一方、途中で電源が切れると起動できなくなる可能性があるため、通常のアプリ更新より慎重な準備が必要です。
更新の必要性を判断する
新しいBIOSが公開されているからといって、すべての中古ThinkPadで直ちに更新する必要があるとは限りません。現在困っている症状、更新内容、重要度、対象OSを見比べて判断します。
例えば、利用中の機器に関係する不具合修正や、安全性に関わる更新が含まれているなら、適用を検討する理由になります。反対に、現在の動作に問題がなく、変更内容も自分の使い方と関係しない場合は、急いで更新しない選択もあります。
中古機では、過去に部品交換や設定変更が行われていることもあります。まず現在のBIOSバージョンを確認し、Lenovoの更新履歴と比べるところから始めてください。
型番の一致を確かめる
BIOS更新で最も大切なのは、対象機種の一致です。シリーズ名が似ていても、世代やマシンタイプが違えば更新ファイルも異なる場合があります。
本体底面のラベル、Windowsのシステム情報、BIOSのMain画面などで正式な製品名とTypeを確認します。そのうえでLenovo公式サポートに製品情報を入力し、その個体向けに表示されたBIOSを選びましょう。
検索サイトで見つけた更新ファイルを、タイトルだけで判断して入れるのは避けてください。Lenovoの配布ページには、対応製品、対応OS、導入手順、現在のバージョンを調べる方法、変更内容、既知の制限などが掲載されています(出典:Lenovo公式「System Firmware Update Utility」)。
シリーズ名、世代、マシンタイプ、対応OSの一致を確認してからダウンロードします。一つでも不明なら、その時点では更新を進めない判断が安全です。
電源とバッテリーを準備する
BIOS更新中の電源断は大きなトラブルにつながります。ACアダプターを接続し、バッテリーも十分に充電した状態で行ってください。劣化した中古バッテリーは残量表示が急に変わることもあるため、AC電源だけでなくバッテリーの状態にも目を向けます。
更新中はACアダプターを抜かず、電源ボタンを押したり、画面を閉じたりしません。見た目が止まったように感じても、内部では書き込みが続いている可能性があります。
雷が近いときや、電源が不安定な場所での作業も避けたほうが無難です。時間に余裕があり、途中でパソコンを持ち運ぶ必要がないタイミングを選びましょう。
BitLocker回復キーを確認する
BIOSやTPMの状態が変わると、次回起動時にBitLockerの回復キーを求められる場合があります。普段は暗号化を意識していなくても、Windowsの設定やMicrosoftアカウントとの連携によってデバイス暗号化が有効になっていることがあります。
更新前にWindowsの暗号化状態を確認し、回復キーへアクセスできることを確かめてください。会社から貸与されたThinkPadなら、自分で更新せず、社内の管理担当者へ相談するのが基本です。
回復キーを確認できないまま更新すると、更新自体は成功してもWindowsへ進めなくなる可能性があります。データが必要なら、重要なファイルのバックアップも先に済ませましょう。
設定画面を記録する
BIOSアップデート後に、一部の設定が初期値へ戻ることがあります。起動順序、仮想化機能、Secure Boot、日時、外部機器の利用設定など、変更して使っている項目があれば写真を残してください。
記録は画面ごとに撮影すると分かりやすくなります。設定名と選択値が読めるよう、反射や手ぶれにも注意しましょう。シリアル番号などを含む写真は、SNSや掲示板へそのまま載せない配慮も必要です。
更新後に問題が起きたとき、以前の値が分かれば戻しやすくなります。数分でできる作業ですが、いざという場面では頼れる控えになりますよ。
◆匠のワンポイントアドバイス
私はBIOS更新前に、ACアダプター、バッテリー残量、型番、現在の版数、回復キーの5点を確認します。どれか一つでもあやふやなら、その日は更新しません。急いで進めるメリットより、正常に使えている状態を守るほうが大切だからです。
BIOSアップデートの進め方
更新が必要だと判断したら、Lenovoが機種ごとに用意している方法を使います。ここではWindows上の更新ツールを中心に、作業中の注意点と更新後の確認方法を解説します。
Lenovo公式から入手する
BIOS更新ファイルは、Lenovo公式サポートから入手してください。製品を自動検出するか、シリアル番号や製品名を入力し、「ドライバーとソフトウェア」のBIOS・UEFI項目を開きます。
表示されたファイルについて、対象製品、対応OS、公開日、バージョン、重要度を確認します。あわせてREADMEや導入手順を読み、現在より新しい版なのか、自分の症状に関係する修正があるのかを見てください。
非公式の配布サイトや、対象機種が不明なファイルは使わないほうが安全です。BIOSはWindows用アプリのように、合わなければ削除して終わりとはいきません。入手先と対象機種の確認が、更新作業の土台になります。
Windows上で更新する
多くのThinkPadでは、Windows用のBIOS Update Utilityが用意されています。対象機種用のファイルをダウンロードし、起動中のアプリを終了してから、画面の案内に従って進めます。
途中でACアダプターやバッテリーに関する警告が出た場合は、内容を確認せず先へ進めないでください。また、ウイルス対策ソフトや会社の管理設定によって実行が制限されることもあります。管理対象の端末なら担当者へ相談します。
更新が始まると自動的に再起動し、黒い画面や進行状況が表示されることがあります。ファンの回転数が変わったり、複数回再起動したりしても、画面に処理中と表示されている間は待ちましょう。
更新中にしてはいけないこと
更新中に電源を切る、ACアダプターを抜く、電源ボタンを長押しする、強制的に再起動する行為は避けてください。BIOSの書き込みが中断されると、電源を入れても画面が表示されなくなる可能性があります。
外出直前や仕事の締め切り直前に始めるのもおすすめしません。更新にかかる時間は機種や内容で異なるため、短時間で終わると決めつけず、余裕のある時間帯に行います。
画面がしばらく変わらない場合も、すぐ強制終了しないでください。明らかな異常が疑われる場合は、対象機種の更新手順やLenovoのサポート情報を別の端末で確認してから判断します。
BIOS更新中の強制終了は避けてください。進行が遅く見えても、書き込み処理が続いている場合があります。
更新後に版数を確認する
Windowsが正常に起動したら、まず普段使っている機器やネットワークが動くか確認します。そのあとBIOSへ入り、Main画面に表示されるUEFI BIOS Versionが更新後の番号になっているか見てください。
Windowsの「システム情報」でもBIOSのバージョンと日付を確認できます。ただし、Lenovoの配布ページではパッケージ番号とBIOS IDが別々に記載される場合があるため、数字の一部だけで判断しないようにします。
起動順序や仮想化設定を変更していた人は、更新前に撮影した画面と比べましょう。初期値へ戻っていた項目だけを、必要に応じて元へ戻します。問題がなければ、更新用にダウンロードしたファイルは保管しても削除しても構いません。
設定変更で注意すること

BIOSには、見慣れない項目が数多く並んでいます。変更そのものは数秒でも、影響はWindowsの起動やデータ保護に及ぶことがあるため、戻せる準備をしてから触るのが基本です。
目的のない変更を避ける
インターネット上には「この設定を変えると速くなる」といった情報がありますが、機種、OS、利用目的が違えば同じ結果になるとは限りません。設定名が似ていても、BIOSの世代によって働きが異なる場合もあります。
変更する前に、「何を解決するための操作か」「元の値は何か」「戻す方法は分かるか」の3点を確認してください。説明できない項目なら、触れずに残すのが賢明です。
複数項目を一度に変更するのも避けましょう。一つ変更して動作を確認し、問題がなければ次へ進むことで、異常が出たときの原因を見つけやすくなります。
初期化は万能ではない
BIOSには「Load Setup Defaults」や「OS Optimized Defaults」といった初期値を読み込む機能があります。しかし、初期化すれば必ず元どおりになるわけではありません。
前の利用者が起動方式やストレージ関連の設定を変更してWindowsを導入していた場合、初期値へ戻すことで起動条件が変わる可能性があります。また、パスワードは初期値の読み込みでは解除されないのが一般的です。
原因が分からない不調に対し、いきなり初期化するのは最後の手段と考えてください。まず現在の画面を記録し、変更履歴や症状を確認してから判断します。
会社の端末は変更しない
会社や学校から貸与されたThinkPadでは、管理方針に合わせてBIOS設定が固定されている場合があります。USB起動、カメラ、無線通信、Secure Bootなどが制限されていても、故障とは限りません。
利用者の判断で設定変更やBIOS更新をすると、社内システムへ接続できなくなったり、管理規則に反したりする可能性があります。必要な操作がある場合は、端末管理者へ目的を伝えて対応を依頼してください。
Supervisor Passwordを求められた際も、解除方法を探して試すのではなく、管理担当者へ確認します。自分で購入した中古機と、組織から借りた端末では、取るべき対応が違います。
よくある質問

ThinkPadのBIOS起動やアップデートについて、操作前に確認しておきたい疑問をまとめました。
ThinkPadのBIOSに関するFAQ
Q1. ThinkPadのBIOSは何キーで起動しますか?
A. 基本は電源を入れた直後にF1キーを数回押します。反応しない場合はFnキーを押しながらF1を押すか、起動直後にEnterキーを押して表示されるメニューからF1を選んでください。機種によって操作が異なる場合は、Lenovo公式の機種別説明書を確認すると確実です。
Q2. BIOSを開くだけで設定は変わりますか?
A. BIOSを開いて画面を見るだけなら、通常は設定は変わりません。確認後は「Exit Discarding Changes」など、変更を保存せず終了する項目を選ぶと安心です。F10キーは保存終了に割り当てられていることが多いため、確認だけなら誤って押さないようにしましょう。
Q3. BIOSは最新版へ更新すべきですか?
A. 常に最新版へ更新しなければならないわけではありません。Lenovoが示す重要度、修正内容、対象機種、現在の不具合を確認して判断します。安全性に関する修正や、自分の環境で起きている問題への対応が含まれる場合は更新を検討してください。
Q4. BIOS更新でデータは消えますか?
A. 通常のBIOS更新は、SSD内の個人ファイルを削除する作業ではありません。ただし、更新失敗や設定変更によってWindowsが起動できなくなる可能性はあります。重要なデータをバックアップし、BitLocker回復キーを確認してから進めてください。
Q5. BIOSパスワードを忘れたら解除できますか?
A. Supervisor Passwordは、電池を外すような一般的な初期化で解除できるとは限りません。中古購入時から設定されていた場合は販売店へ相談し、会社の端末なら管理担当者へ連絡してください。分解や非公式な解除方法には、故障やデータ損失の危険があります。
ThinkPadのBIOSまとめ
ThinkPadのBIOSは、電源投入直後にF1キーを数回押すと起動できます。うまく入れない場合は、Enterキーから起動メニューを表示する方法や、Windowsの詳細な起動メニューからUEFIファームウェアの設定へ進む方法を試してください。
BIOSを開いたあとは、目的に関係する項目だけを確認します。現在のバージョンを見るだけなら、設定を保存せず終了すれば問題ありません。USBから一度だけ起動したい場合は、BIOSの順序を変えず、F12のBoot Menuを使う方法もあります。
BIOSアップデートを行うなら、機種とマシンタイプの一致、現在の版数、更新内容、AC電源、バッテリー残量、BitLocker回復キーを確認してください。中古ThinkPadでは、最新版にすることよりも、更新が本当に必要かを見極めることが大切です。
BIOSは、むやみに触らなければ怖い画面ではありません。入口と出口を把握し、変更前の状態を残しながら、一つずつ確認していきましょう。

